福岡の若者、なぜ女性多い?「婚活不利」嘆く女性も(日本経済新聞)

2017年10月1日 6:00 
      
「福岡は元気な女性が多いですよね」――。県外から福岡を訪れた知人や同僚にこんなことをよく言われる。たしかに福岡市に若い女性が多いという感覚は街を歩いているだけで感じることがある。なかには「女性が多すぎて、婚活に不利」という女性の嘆きの声も。この感覚は本当か、実態と理由を探ってみた。

趣向を凝らした婚活イベントが行われている(エクシオジャパンがヤフオクドームで開いたパーティー)
まずは福岡市の20~39歳人口をみてみよう。今年8月時点で男性19万9804人に対し、女性は21万9691人と女性の方が2万人も多い。単純に男女の数を比べると、女性100人に対し男性約91人。ペアを組むと女性9人が余る計算だ。
なぜ、こんなに女性の方が多いのか。よく耳にするのが、男性は就職で首都圏など他の大都市に流れる一方で、女性は九州各地から福岡へ集まるという説だ。記者の周辺でも「都会に出ようとすると、東京は物理的にも心理的にも遠い。福岡なら親にもすんなり理解してもらえた」(鹿児島出身福岡市在住の20代女性)といった声を聞く。たしかに実感に近そうだ。
県をまたいだ人口移動のデータからはこれを裏付ける結果が読み取れる。就職を機に流入した人口から流出した人口を引いた新卒者就職純流入人口(厚生労働省の雇用動向調査と文部科学省の学校基本調査などを基に作成)では九州全7県で流出超過となっている。ただ、男女別でみると福岡県は男性が流出する一方で、女性は流入超過の傾向がある。
最新(2014年)のデータでも、就職を機とする新卒者男女の出入りでは男性の減少数と女性の増加数を足すと県内で約1千人女性が多くなる。年によって変動はあるものの、毎年、新卒者だけで数百~数千人、女性が男性を上回る状況が続いている。
そんなわけで、結婚を望む女性にとって男女の人口が不均衡な福岡はパートナー選びの選択肢が狭まる「不利」な市場。なかなか機会に恵まれない女性が積極的に新たな出会いの場を求めるためか、結婚相手紹介大手のツヴァイ(東京・中央)では会員に占める女性の比率が九州で最も高いのが福岡だ。
同社によると福岡の登録会員は「便利な都会で、仕事をしている女性が多い。(市内を中心に)県内の男性と結婚したい傾向が強い」という。福岡市はサービス業や小売業などで市内総生産の約半分を稼ぐ産業構造で、女性が働きやすい職場も多い。買い物などの面でも便利な都会という、九州の他地域が引き留められない若い女性を吸引している面がありそうだ。
婚活から少し目を転じると、働き盛りの若い女性が多い福岡の課題も見えてくる。福岡が若い女性の活力を都市の活性化につなげられているのか、そんな疑問が浮かぶ。
近年、東京の企業では女性が活躍するのは当たり前、特別なことではない雰囲気になっている。一方で福岡の企業風土はどうか。女性活用などにくわしい福岡地域戦略推進協議会フェローの西田明紀さんは「まだ(意識の変化が)立ち遅れている面がある。まずは活躍する女性をロールモデルとして際立たせて、意識や風土の変化を喚起する必要がある」と指摘する。婚活事情ばかりでなく、福岡に集まる若い女性の多様な生き方をいかに後押しするか、頭を巡らせる必要がありそうだ。
福岡の話ばかりしてきたが、実は鹿児島も女性の人口が顕著に多い。鹿児島市の20~39歳人口は女性100人に対して男性が88人。女性比率の高さは福岡市を上回る。ツヴァイ会員の女性比率も、九州では鹿児島が福岡に次ぐ2番目の高さだという。県内の就職先が少なく、他県への男性の流出が多いとみられる。(西部支社 佐藤洋輔)

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